破滅の美学:「スカーフェイス」が好きなら→「県警対組織暴力」もオススメ!

「仁義なき戦い」における菅原文太に対して、洋画では「スカーフェイス」のアル・パチーノが語られることも多い。ヤクザやマフィアを扱った映画で惚れ惚れする主人公を演ずる名優という意味ではそうだが、ストーリーで考えると意味合いが少し違ってくるように思う。仁義なき戦いでは菅原文太は死なない。対してスカーフェイスではアル・パチーノはラストで死ぬ。

その意味ではむしろ「県警対組織暴力」の松方弘樹に重なる。成功を掴んだ矢先にどこからか上手くいかなくなり、最後のどん詰まりに来てしまう。ラストに待ち受けるのは必ず死であり、破滅である。それを美しく映画に仕上げた洋画と邦画の代表格としてオススメしたい。

スカーフェイス」はブライアン・デ・パルマ監督によるギャング映画。キューバからアメリカに渡った主人公トニー・モンタナを演じるのはアル・パチーノ。難民キャンプにいる政治犯の殺害をきっかけに裏社会へと入っていき、コカインの密売で成功をあげていく。やがてボスを殺してその座を奪い、情婦も豪邸も手に入れたアル・パチーノ。その一方で、猜疑心に苛まれ、薬に溺れ、家族から孤立し、破滅へと追いつめられていく。クライマックスは豪邸での銃撃戦。何度撃たれようとも1人で銃を乱射していくが、無数の銃弾についに息絶える。最後に輝くのはオブジェの”The World is Yours”だ。

県警対組織暴力」は深作欣二監督によるヤクザ映画。主演の菅原文太は珍しく警察官役。とは言ってもヤクザと癒着し、暴力的な捜査・取り調べを行うヤクザ警官だ。菅原文太と盟友であるヤクザ大原組の若頭役を演じるのが松方弘樹である。大原組と抗争を繰り広げていた川手組の土地買収計画を叩き潰した菅原文太と松方弘樹は祝杯をあげる。しかし、川手組との抗争は激しくなり、県警の上層部も川手組と手を組んでおり、大原組潰しが始まる。クライマックスは立てこもった松方弘樹が説得に応じたフリをして出てくる。突然、暴れだそうとするが、菅原文太が銃殺する。盟友を撃たざるを得なかった菅原文太の表情は名シーンだ。