渋くてカッコイイ役をやらせても、コメディな役をやらせても、光り輝くのが名優です。ロバート・デ・ニーロもその1人ではないでしょうか。
ロバート・デ・ニーロがめちゃくちゃカッコイイ『ヒート』にオマージュを捧げながら、コミカルなロバート・デ・ニーロに仕上げたのが、タランティーノ監督の『ジャッキー・ブラウン』です。
『ヒート』
「ヒート」はマイケル・マン監督によるアクション映画。
アル・パチーノとロバート・デ・ニーロがダブル主演で男の色気を魅せつけてくれる。ロバート・デ・ニーロ率いるチームが現金輸送車や銀行を襲い、アル・パチーノ率いる警察と銃撃戦を繰り広げる。ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノの喫茶店での会話、ラストの1対1の銃撃戦は、張り詰めた空気感で魅入ってしまう。
『ジャッキー・ブラウン』
そんなヒートを下敷きにした(?)ロバート・デ・ニーロを配役したのが、クエンティン・タランティーノ監督の「ジャッキー・ブラウン」という犯罪サスペンス映画である。
スチュワーデスのジャッキー・ブラウンを演じるパム・グリアが麻薬や現金の運び屋として、サミュエル・L・ジャクソン演じるギャングに雇われているが、警察にマークされたことから物語が進む。
そして、サミュエル・L・ジャクソンの相方としてロバート・デ・ニーロが出てくる。うだつの上がらない中年ギャング役のロバート・デ・ニーロだが、刑務所に入ったのは「銀行を襲ったからだ」という。ヒートを思い起こさせる台詞に、タランティーノ流のオマージュを感じさせる。
本作では、ロバート・デ・ニーロは完全な脇役でありながら、『ヒート』が好きな人にはたまらない存在感を示しています。