人生の意味を見つめ直してしまうような映画は数多くあるのではないでしょうか。大自然の猛威と戦いながら、人生を問う映画を2つご紹介します。
レヴェナント:蘇えりし者
「レヴェナント:蘇えりし者」はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督によるヒューマンドラマ映画。レヴェナントとは亡霊、帰ってきた者という意味で、“蘇えりし者”という副題は上手いと思う。アメリカ西部開拓時代の極寒の雪山が舞台となっており、主人公を演じるディカプリオとその息子は道案内&警護役である。ディカプリオが熊に襲われ重症を負ったことをきっかけにし、敵役トム・ハーディはディカプリオを生き埋めにし、息子を殺してしまう。そこからディカプリオのサバイバルと復讐劇が始まる。先住民との心の交流や自然の厳しさを織り交ぜてはいるものの、基本的には単なる復讐劇に終止するストーリーである。特筆すべきは、雪山の自然の美しさ、そして遂にアカデミー主演男優賞を獲得したディカプリオの鬼気迫る演技にある。熊に襲われてからのディカプリオは痛々しくて観ていられないほどの緊張感があり、時折挿入される自然の美しい映像には心奪われ緊張感を忘れさせてくれる。
イントゥ・ザ・ワイルド
「イントゥ・ザ・ワイルド」はショーン・ペン監督によるヒューマンドラマ映画。雪山の自然の美しさという点では、アラスカへの旅路を描いた本作も同じである。レヴェナントにおけるディカプリオと違って、本作の主人公は全くの素人でありサバイバルの技術にも乏しい。狩りの獲物を無駄にしてしまったり、毒草を食べてしまったりという失敗が起こる。それは自然の厳しさを強調するとともに主人公の忌み嫌った現代の消費社会と対比される。自由の意味を問う映画であり、ある若者のロードムービーであり、現代の消費社会への疑問であり、自然の美しさと厳しさを見せる重厚なストーリーとなっている。