映像と音楽とセリフがスタイリッシュな映画:「恋する惑星」が好きなら→「ポンヌフの恋人」もオススメ!

監督の作家性が色濃く出ている名作ラブストーリーである2つの映画を紹介します。どちらの映画も監督と俳優の長年のタッグにより個性的な作品となっています。休日のカフェでふと目にできると嬉しくなる映画ではないでしょうか。映像も音楽もセリフも、やり過ぎたっていいのです。オシャレぶっててもいいのです。映画だもの。

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恋する惑星

恋する惑星」はウォン・カーウァイ監督によるラブストーリーで香港映画。カンフーや香港ノワールのイメージが強い香港映画だが、1990年代に香港の恋愛映画を人気化させたのはウォン・カーウァイ監督であり、恋する惑星であった。物語は2部構成となっていて、前半は警官役の金城武とドラッグディーラー役のブリジット・リン、後半は警官役のトニー・レオンと飲食店員のフェイ・ウォン。ここでは後半に焦点をあててみたい。

ウォン・カーウァイ監督作品の常連トニー・レオンに恋をするのが、中国語圏を代表する歌手フェイ・ウォンである。彼女は現実でも自由で不思議な人物であるようだが、それがそのまま本作の役に魅力的に活かされている。トニー・レオンが常連になっている飲食店で働くフェイ・ウォンは、トニー・レオン宛の手紙を預かるが勝手に開けてしまう。その手紙は元恋人からの決別であり、中にはトニー・レオンの部屋の鍵が入っていた。フェイ・ウォンはその鍵で部屋に入り、掃除をしたりベッドを模様替えしたりとやりたい放題。どう控えめに言っても狂気の沙汰であるが、その映像は部屋の中を飛び回る飛行機から見たような視線であり、とてもスタイリッシュでフェイ・ウォンに魅入ってしまう。一方で、トニー・レオンは徐々に部屋の変化に気付くのだが、おとぼけのセリフばかりで笑いを誘う。2人はついに鉢合わせしてしまい、逃げるフェイ・ウォンに対して、次の日飲食店に来たトニー・レオンはデートに誘う。デートは実現しないのだが、1年後に再会するラストへ繋がる。

ポンヌフの恋人

ポンヌフの恋人」はレオス・カラックス監督によるラブストーリーでフランス映画。ドニ・ラヴァン演じる主役アレックスの名を取ってアレックス三部作と呼ばれる3番目の映画だが、本作単体だけ見ても全く問題なく楽しめる。レオス・カラックス監督とカメラマンであるジャン=イヴ・エスコフィエが完璧主義的映像美を追求した作品として知られている。レオス・カラックス監督の分身が主役のドニ・ラヴァンだ。彼らは背格好も似ていて、レオス・カラックス監督は自身の姿をドニ・ラヴァンに投影して映画を製作している。

映画のあらすじは、孤独な大道芸人ホームレス(ドニ・ラヴァン)が、失明寸前の絵描き女性(ジュリエット・ビノシュ)をエゴイスティックに愛するストーリーである。舞台はフランスのポンヌフ橋で、そこでホームレスをしているドニ・ラヴァンの元に、ある日、元恋人への未練と失明への恐怖を抱えたジュリエット・ビノシュが転がり込んでくる。絶望的な状況でも、一緒に暮らしていく中で徐々に恋が芽生えていき、ドニ・ラヴァンはエゴイスティックとも言える愛を持っていく。しかし、治療方法が見つかり失明から免れることができると分かったジュリエット・ビノシュは、ドニ・ラヴァンと別れて現実に戻っていく。数年ぶりに再会した2人は雪の降るクリスマスのポンヌフ橋で真夜中まで過ごす。帰らなくてはと言い出すジュリエット・ビノシュにバッドエンドを想像するが、ラストは意外にもハッピーエンドに流れていく。まどろめ、パリよ!という最後のセリフはとても印象的だ。この映画の魅力は、映像美と喜怒哀楽の爆発にあると思う。ポンヌフ橋での花火のシーン、雪降るシーンは忘れ得ぬ印象を残すだろう。また、ドニ・ラヴァンとジュリエット・ビノシュの喜び、怒り、そして全力疾走、ダンスが何とも魅力的だ。